龍谷大学交響楽団 サマーコンサート2017

第1回 曲解説 2017年2月開催


プレゼンター:佐藤佑哉(第25代正学生指揮者) 

◎ロッシーニ/歌劇「セビリアの理髪師」

セビリア1

それでは、最初にロッシーニ作曲、歌劇「セビリアの理髪師」の解説を行います。演奏会では序曲を演奏しますが、解説会ではオペラ全般を中心に解説していきます。


 

セビリア2

 今回の内容は大きく分けて3つ。ロッシーニとオペラ全般についてざっくりと解説をし、最後に実際に歌劇「セビリアの理髪師」を鑑賞しようと思います。


 1.ロッシーニってダレ?

セビリア3

 まずロッシーニの出身国はご存じでしょうか。イタリアの作曲家です。今回演奏する作品「セビリア」はスペインの地方の名前ですから、勘違いしないように…。 イタリアのペーザロという街で1792年に生まれました。このペーザロという街、聞きなれない地名だと思いますので軽く補足しておくと、スライド上の写真にあるように、アドリア海に面した観光中心の都市です。 このペーザロには、ロッシーニの家だった博物館や、彼の名を冠した音楽学校や劇場などがあり、まさにロッシーニの街です。ロッシーニ作品を演奏するのであれば是非一度訪れておきたい都市ですね(お金があれば)。 また、「ロッシーニ・オペラ・フェスティバル」が毎年開催されており、世界中からオペラ音楽の愛好家が集まっている都市でもあります。 スライド上もう一枚の写真、アーチ状の四角い建物は「公爵の館」で、現在のペーザロ・ウルビーノ県庁舎です。

 さて、1792年に生まれたロッシーニは1810年、わずか18歳のときに最初のオペラ作品を発表しました。以降、1868年に76歳で亡くなるまで、オペラ作品を中心にたくさんの作品を書き続けました。

 次回以降、彼の詳しい生涯や主な作品についても解説していこうと思います。


2.オペラってナニ?

セビリア4

 それでは次に、そもそもオペラとは何なのかについて解説しておきたいと思います。そもそも皆さんはオペラを鑑賞したことはありますか。オペラについて、どのようなイメージをもっているでしょうか。

 オペラは、日本語で「歌劇」と呼ばれています。そう、「歌」だけで成り立つ「劇」がオペラなのです。 オペラでは、曲だけでなく、曲間の一つ一つのセリフまで、すべて歌になっているのです。即ち、オペラに出演している歌手の皆さんは、幕が開いてから閉じるまで、ひたすら歌い続けながら演技をしているのです。ただ歌うだけでなく、その役を演じなければなりませんから、並大抵の歌手では成し遂げられないことですね。 また、オペラの伴奏はすべてオーケストラが演奏します。リサイタルなどではピアノソロが伴奏することもありますが、オペラそのものはオーケストラが伴奏をしています。

 オペラというのは、先述したように歌を歌い続ける劇なのですが、実際に鑑賞してわかるように、オペラは音楽だけで成り立つものではありません。演劇はもちろん、舞台上の小道具や背景、衣装といった美術など、オペラはあらゆる分野の芸術が一度に楽しめる「総合芸術」です。オペラ公演のホームページやパンフレットをご覧になればわかるように、関わっているスタッフは音楽関係の人だけではありません。そういったところもオペラの楽しみ方の一つとして捉えてみてくださいね。

 ここで補足しておくと、オペラについて解説するときのあるある系の質問として「オペラとミュージカルは何が違うんですか」という質問があります。 これはジャンルとしてはほぼ同じものなのですが、時代の流れに違いがあります。 オペラはそもそも貴族むけに作られたものでした。それを、庶民でも楽しめるようなコメディ形式にしたものが「オペレッタ」です。オペラは後に説明しますが、主人公が最後は病気や殺害によって命を絶たれる悲劇的作品が圧倒的に多いです。それに比べてオペレッタは、ハッピーエンドで終わるコメディ作品が多いですね。 ミュージカルはオペラがアメリカへと渡っていき、20世紀に発展したものです。ミュージカルには歌に加えて踊りも主体的なものとなります。 即ち、根本的なところにまずオペラというものがあり、それがオペレッタ、そしてミュージカルへと派生していったと考えてもらえればよいです。


3.「セビリアの理髪師」を観よう!

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 それでは早速、歌劇「セビリアの理髪師」の鑑賞を行いたいと思います。 最初に、登場人物と相関について解説しておきます。

 スペインの貴族であるアルマヴィーヴァ伯爵(テノール)は、ある女性に一目惚れします。それがロジーナ(メゾソプラノ)です。伯爵はロジーナにあなたが好きだと毎晩彼女の部屋のバルコニーに愛のセレナーデをささげていました。そんな彼の姿にロジーナも次第に想いを寄せていくのです。これでお互い両想い、めでたしめでたしで終われば良いのですが世の中そう甘くはなく…。

 ロジーナはバルトロ(バス)という医者の家に住んでいました。ロジーナは両親を亡くしており、このバルトロを後見人(親の代わり)として、彼の家に住んでいたのです。それは別に良いのですが、ややこしいことにこのバルトロはロジーナに想いを寄せており、彼女と結婚しようと企てていたのです。そこでバルトロは他の誰ともかかわらないようにするため、ロジーナを家の外から一切出さず、部屋に監禁していたのです。だから伯爵とロジーナは、すぐそこに相手がいるのに、バルトロのせいで近づくことができないという状況でした。

 そんな状況にイライラした伯爵は、町の理髪師であるフィガロ(バリトン)に相談をします。このフィガロはただの理髪師ではありません。恋の相談や仲介まで、あらゆることに手を貸してくれる「町の何でも屋」として活躍しています。そんなフィガロと手を組んで、バリトンの邪魔をかわしていき、伯爵とロジーナは無事に結婚できるか…という流れで話が進んでいきます。

オペラ初心者でもとっつきやすい、非常にわかりやすいあらすじだと思います。

セビリア6

 次に、作品について基本的なことについておさえておきましょう。

 まずセビリアというのは、先ほど言ったようにスペインの都市の名前です。ロッシーニはイタリアの作曲家ですので、ここで国が混乱しないようにしてくださいね。発音についてですが、日本では「セビリア」か「セビリヤ」が一般的ですが、よりスペイン語の発音に重視された、「セビリャ」「セビージャ」などの発音もされます。ちなみに英語では「セヴィル」、イタリア語では「シヴィッリャ」です。何で発音してもらってもいいです(笑)。

 また、オペラは悲劇作品が圧倒的に多いと先ほど言いましたが、実はこの作品は珍しく喜劇作品です。ハッピーエンドで終わるということで既に軽くネタバレしてしまいますが(笑)。

 そして、この「セビリアの理髪師」に登場するフィガロ。あれ、フィガロってどっかで聞いたぞと思った人も少なくないと思います。そうです、この作品はモーツァルト「フィガロの結婚」とリンクしています。「フィガロの結婚」は「セビリアの理髪師」の後編作品で、「セビリアの理髪師」のフィガロが主人公となり、彼のその後を描いたオペラなのです。もちろん、アルマヴィーヴァ伯爵やロジーナも登場しますので、もし「セビリアの理髪師」を楽しんでもらえたなら、ぜひ「フィガロの結婚」も観てみてくださいね。

セビリア7

 基本データについてですが、作曲者名と初演年くらい覚えておいてもらえればよいと思います。

 今回鑑賞するDVDはアバド指揮のミラノ・スカラ座です。1971年の映像ですのでちょっと古いですが、演出的には一番教科書的でわかりやすく、非常に見やすい作品だと思います。 ちなみに、このDVDでロジーナを演じているテレサ・ベルガンサは、このロジーナ役が彼女にとって一番の当たり役だと言われています。また、フィガロを演じているヘルマン・プライはドイツ人歌手では珍しく、「セビリアの理髪師」のフィガロ役と「フィガロの結婚」のフィガロ役、二つの作品のフィガロで成功をおさめた数少ないドイツ人歌手として有名です。 そんな抜群の歌手陣にも注目してみてください。

 今回鑑賞したDVDはこちらにて購入可能です。 http://amzn.asia/bjdR4Ma

 各幕あらすじについては下記スライドを参照してください。

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