龍谷大学交響楽団 サマーコンサート2017

第1回 曲解説 2017年2月開催


プレゼンター:佐藤佑哉(第25代正学生指揮者)

◎ブラームス/交響曲第2番

ぶら2 1 ぶら2 2

  それでは、今回の演奏会のメインで演奏する、ブラームス作曲、交響曲第2番の解説を行いたいと思います。

 最初に、タイトルのスライドに書かれたこの言葉、誰かがブラームスに充てた言葉なのですが、誰かご存じですか。 この言葉は、クララ・シューマンという女性の言葉です。ピンときた人もいると思いますが、作曲家ロベルト・シューマンの奥さんです。 交響曲第2番は1877年に作曲された作品なのですが、同年の秋、ブラームスはこの出来立ての曲をクララに、彼女の自宅のピアノで演奏し聴かせたそうです。そのときに言われた言葉です。

 ちなみに、ブラームスとクララの関係は、かねてから親密な関係にあり、一説ではロベルトの没後、二人は恋愛に至ったという説もある。これに関してはあまり明確な根拠はないそうです。


1、ブラームスについて

ぶら23

 そんなブラームスは19世紀ドイツの作曲家です。生まれた地、ハンブルクはドイツ北部の都市です。 ドイツで育った後、1862年からウィーンに移住して、そこから作曲に集中したと言われています。晩年もウィーンで過ごし、1897年に亡くなっています。

ぶら2 4

 ところで皆さん、ドイツの作曲家「三大B」をご存じでしょうか。言うまでもなく頭文字がBのドイツ人作曲家です。 ブラームスの他にバッハとベートーヴェン。彼ら3人がドイツ音楽を代表する「三大B」と言われていますので是非覚えておいてください。

 ブラームスの作風としては、彼自身ロマン派時代の作曲家であり、ロマン派の代表格であるベートーヴェンを崇拝していました。それに加えて古典派のモーツァルトやハイドンも敬愛していたのです。

 即ち、ロマン派に加えて古典的な形式もちらほら入っており、「新古典派作曲」という呼称で呼ばれることもあるそうです。


2、ペルチャッハの自然

ぶら2 5

 さて、ブラームスの交響曲第2番、一番のポイントがあります。それがペルチャッハとの関わりです。聴いてわかるように、この曲は明るく穏やかで豊かな雰囲気が感じられますが、その曲調は、作曲された地であるペルチャッハの自然との関わりが強いです。

ぶら2 6

 ペルチャッハは、オーストリア・ケルンテン州にある名だたる保養地で、ウィーンの南西方向、イタリア国境近くにあるヴェルター湖の湖畔にあります。写真を見てわかるように、とても綺麗なリゾート地です。この地であの交響曲第2番が書かれたとイメージできればと納得できるのではないでしょうか。是非一度訪れてみたいところですね。

 ちなみにブラームスはこのペルチャッハについて、音楽評論家のハンスリックに手紙でこのように表現しています。

~ ヴェルター湖という手つかずの土地は、メロディがいっぱい飛び交っているので、踏みつぶさないように気を付けて、とおっしゃっていることでしょう ~


3、交響曲第1番との比較

ぶら2 8

 ところで、第2番はとても温かく豊かな曲調が特徴的ですが、その前に作曲された第1番はどうでしょう。冒頭から緊迫感があり迫力のある曲ですね。その第1番と第2番の違いについて、曲のイメージ以外からもいくつか比較しておきたいと思います。

 まず曲を書き始めてから完成までにかかった年月ですが、第1番はブラームスが作曲に集中するためにウィーンに移住してから10年後、1876年に完成していますが、実に約20年の歳月をかけて書かれました。まさに「難産」の曲です。 それに対して第2番はペルチャッハの滞在中、たった4か月ほどで完成された。難産を果たして書かれた第1番、それで吹っ切れてリラックスしてスラスラ書けた第2番。これも、曲を聴いてみるとだいたいイメージできると思います。

 また第1番は、緊張感のある冒頭から最後の劇的なところまで、かなり緊密に構築されており、その緻密さは「ベートーヴェンの交響曲第10番」とも呼ばれています。 一方の第2番は第1楽章の雰囲気からイメージできるように、「ベートーヴェンの『田園』交響曲」とも呼ばれています。互いに崇拝していたベートーヴェンに例えられていますが、その意味は互いに違ったものです。第1番はベートーヴェンだったら次はこんな曲書くだろうという進展的なものであり、第2番はベートーヴェンが書いた曲と似ているといった類似的なものです。


4、ハンスリックの言葉

ぶら2 9