龍谷大学交響楽団 第24回定期演奏会

第1回 曲解説 


プレゼンター:佐藤佑哉(第25代正学生指揮者) 

◎オッフェンバック/喜歌劇「天国と地獄」序曲

ドイツ・ケルンに生まれ、後にフランスで活躍したオッフェンバック。彼は61年の生涯のうち102曲ものオペレッタ作品を書き上げたが、これだけのオペレッタを書き上げることができたのは、小さな劇場を借り、自作のオペレッタ作品を好き放題に上演することができたからであろう。1855年、オペレッタ「オヤヤイエ、群島の女王」で評判を得ると、それを機に夏からフランス・シャンゼリゼの小さな劇場を借り、自作のオペレッタ上演を始めたのだ。上演当初こそ制限があったものの、人気を博して自由に上演できるようになると、「待ってました」と言わんばかりに次々と傑作オペレッタを生み出していった。彼の湧きおこるかの如く描き出す数々の旋律は、美しく、人々の印象に強く残ることから、ロッシーニはオッフェンバックのことを“シャンゼリゼのモーツァルト”と評した。

 

そもそもオペレッタとはオペラから派生したもので、19世紀半ば頃、貴族の楽しみであったオペラを庶民でも楽しめるようにとコメディ形式にしたものである。オペラは悲劇的な作品が大多数を占めるに対して、オペレッタはハッピーエンドで終わる喜劇的作品が多い。このようにオペラとオペレッタの違いはいくつか挙げられる。例えば、オペレッタではオペラにあるレチタティーヴォ(アリアの前におかれる朗唱的な部分)の部分が普通の対話台詞になる。また歌だけでなく踊りも重要視され、バレエやダンスのシーンはオペレッタには不可欠なものである。

 

「地獄のオルフェ」(邦題:天国と地獄)は1858年に初演され、今なお愛され続けるオッフェンバックの代表作である。オルフェとその妻・ユリディス夫婦は倦怠期。ユリディスが地獄の王・プリュトンに地獄へ連れ去られたにも関わらず、オルフェは妻がいなくなり浮気し放題と大喜び。それを見ていた世論がブーイングし、仕方なくオルフェは妻を取り戻すために天国、そして地獄へ向かうというコメディである。

今回演奏する序曲は、1858年の初演後、オーストリア・ウィーン(ドイツ語版)で初演されるにあたり、劇中の有名な主題を集めて書かれたものである(1858年に初演された際の序曲は簡素なものであった)。曲は、以下三部構成となっている。

 

第一部

天国で神々が反乱を起こす「立ち上がれ、すべての神々へ」の主題で華々しく幕を開けた後、クラリネットのカデンツァ。カデンツァが閉じた後、オーボエによって「羊飼い(アリステ)の主題」が演奏され、フルートやハープなどの伴奏に合わせチェロの独奏が演奏される。

第二部

第2幕・第4場の幕開けとなる、地獄の踊りのテーマに続き、ヴァイオリンの独奏が演奏される。このテーマを高音楽器が引き継ぎ、最後は全体で壮大に演奏された後、静かに閉じる。

第三部

「地獄のギャロップ」「フレンチ・カンカン」と呼ばれているテーマ。運動会などでよく流れているため、意気揚々とした天国のようなイメージがあるが、実際の劇中場面では地獄で天地の人々が入れ乱れて荒れ踊る様子のテーマである。弦楽器と木管楽器に始まり、最後は金管楽器・打楽器も加わり、勢いよく華々しく終える。